代 表 挨 拶
秋田県大仙市角間川地区は、小野寺氏旧臣が集団で移住し、新田開発の拠点としてから400年以上の歴史を重ねてきました。江戸時代中期には、雄物川舟運の主要な河港として物資の集散地となり、明治時代には県内有数の地主町として名を馳せました。現在も、国登録有形文化財である「旧本郷家住宅」をはじめとする旧地主の屋敷群や、河港の面影を残す「角間川浜倉」や親水公園、大仙市無形民俗文化財の「角間川盆踊り」、小正月行事の「厄払いぼんでん」など、有形無形の貴重な歴史的・文化的遺産が数多く残っています。
しかし、2010年代に入ると、当地域も人口減少、地元商業の衰退、旧地主邸宅の所有者の高齢化や空き家問題など、様々な課題に直面しました。また、地域の歴史的・文化的資産の保存と継承も重要な課題でした。これらの諸問題と地域活性化に取り組むため、2015年に地元の商工会会員を中心に「角間川地域活性化協議会」が設立されました。協議会の活動は、国土交通省の2020年度「手づくり郷土賞」を受賞するなど一定の成果を上げ、大仙市の「河港のまち角間川・歴史まちづくり事業基本計画」に基づく旧地主屋敷3軒の公有化と公開に向けた改修整備事業の推進に貢献できたと考えています。旧地主屋敷群の公有化により、ようやくスタートラインに立つことができたこの活動を継続していくため、2018年に協議会を発展させ、「株式会社角間川」を設立しました。株主は、公募によって集まった地域の皆様です。
株式会社角間川の行動指針は、角間川・藤木地区の地域社会の利益を最優先に考え、地域に貢献することです。したがって、私たちは収益性よりも地域社会の利益の実現に重点を置いた事業活動を行います。株主の皆様が暮らす地域を住みやすくすることが、株主利益の還元につながると考えています。また、会計についても、予算消化型ではなく、株式会社の会計基準に則ります。売上を上げ、事業継続に必要な利益を確保し、様々な形で社会に還元し続けるため、迅速かつ適切な意思決定により事業を継続・発展させていきます。
現在、私たちは大仙市から旧地主屋敷3軒の維持管理と公開管理の業務委託を受けています。2023年には、旧本郷家住宅が将棋竜王戦第6局の会場に選ばれ、施設の見学やガイドツアーの申し込みが急増しました。その後も、多くのお客様に主屋や内蔵をご覧いただき、素晴らしい文化財であると高い評価をいただいています。私たちは、地元住民として、この文化財の維持に関われることに誇りを持ち、先人が残した貴重な文化財と魅力的な歴史を、より多くの方々に、より良い状態で伝えられるよう、精一杯努力してまいります。また、これらの文化財を活用した商品開発やイベント企画にも力を入れ、新たに開設した会社のホームページを通じて、地域の魅力を発信していきます。一つ一つの活動は小さなものかもしれませんが、歩みを止めずに地道に継続することが何よりも重要だと考えています。今後とも、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年3月

株式会社角間川
代表取締役 鈴木 直道